ユベントス対ミランの雑感

 ミランプルゼニ戦の勝利から迎えるユベントス戦。管理人は久しぶりの生観戦。ちなみに管理人が生観戦したらミランは勝つというジンクスがある。どんなジンクスだって話ですが、そうなんです。最近ならミラノダービー。といってもこの試合では見事にジンクスが破られたけど。

 ユベントスのスタメンはブッフォンリヒトシュタイナーバルザーリボヌッチキエッリーニピルロマルキージオビダルクラシッチ、ペーペ、ブチニッチキエッリーニが左サイドバックボヌッチセンターバック。他にはクラシッチがスタメンで、ミランキラーらしいブチニッチもスタメン。

 ミランのスタメンはアッビアーティ、ボネーラ、ネスタ、チアゴ・シウバ、ザンブロッタ、ファン・ボメル、ノチェリーノセードルフ、ボアテンク、カッサーノイブラヒモヴィッチザンブロッタを左サイドバックにしてボネーラを右サイドバックに持ってきた。あとはボアテンクの復活。いよいよメンツが戻ってきたぜってところか。

 ◆ユベントスは4-1-4-1

 ユベントスのシステムは4-4-2と試合前に表記されていたけどピッチの中では違うものが見られた。それは4-1-4-1であった。ピルロをアンカーにして、その前にビダルマルキージオ、右サイドにクラシッチ、左にはペーペ、フォワードにはブチニッチという配置で望む。

 両サイドを見てみるとペーペとクラシッチクラシッチもペーペも爆発的なスピードが持ち味。というわけなのでこの二人のスピードを生かしたカウンターを狙うために4-1-4-1で守備をするのかなと思っていたら、ユベントスは高い位置からの守備を試みていた。

 まずフォワードの守備。フォワードは一枚でそこに配置されたのはブチニッチ。しかしミランセンターバックは二枚で、さらにネスタとチアゴ・シウバのコンビ。というわけでブチニッチ1人ではミランセンターバックを見るのは不可能なので、二列目のビダルマルキージオがよく出てきてプレスをセンターバックにかける。たまにユベントスの守備が4-4-2に見えたりしたのはこれだからか。

 ミランの中盤に対する守備はファンボメルへの徹底的なプレスでミランを落ち着かせないこと。そこでボールが集まるボール運べそうなセードルフ。彼にプレスをかけるのはビダルという形。ミランの中盤にゲームを作れるのはセードルフしかいない。というわけでセードルフには集中放火するユベントスの守備。そしてセードルフのボールロストはかなり多かった。ビダルクラシッチが守備が上手くないので、めちゃくちゃ頑張った印象。

 ミランからしたら、セードルフのボールロストが多いことにプラスしてユベントスの中央は基本的にはピルロマルキージオビダルの三人である。なので流石のイブラヒモヴィッチでも三人を相手には中央でタメを作れない。だったらサイドに起点を作ろうとするミランイブラヒモヴィッチカッサーノが頻繁に左サイドに流れた。右サイドにはたぶんボアテンクがいた。だけど例えばカッサーノが左でボールを受けてイブラヒモヴィッチへってしようとしても対決はほとんどイブラヒモヴィッチバルザーリボヌッチキエッリーニ

 これは、完全に終わってる対決。しかもキエッリーニイブラヒモヴィッチの名勝負だぜってなる。ミランはそれを避けるために右からの攻撃はどうなんだいって見ても右サイドバックにはボネーラ。ドリブル大好きなアバーテがいない。ボネーラで何ができるんだいってなるので、右サイドから攻撃する気はあまり無さそうなミランであった。中央でイブラヒモヴィッチが受けてから展開できるのはせいぜいカウンターの時でスペースが中央にあるときだけであった。

 ならばユベントスの攻撃はどうなのか。ミランは低い位置にブロックを作っているのでユベントスはビルドアップに困ることはあまりなかった。目立つのはリヒトシュタイナーキエッリーニの両サイドバックの攻撃参加。リヒトシュタイナーの攻撃参加はクラシッチがチアゴ・シウバとザンブロッタの間辺りをうろちょろする。そこでサイドの縦のスペースを攻め上がるリヒトシュタイナーであった。そして好きにやるリヒトシュタイナー

 キエッリーニとのコンビはペーペ。この二人の動きはいろいろ。ペーペが中央に入って行って、キエッリーニが縦のスペースをオーバーラップ、逆にペーペがタッチラインまで広がってキエッリーニが中央に入っていく攻撃参加も見られた。ただコンビネーションで崩すわけではなく独力に任せるような雰囲気がしていた。

 中央の動きはブチニッチマルキージオフォワードになって、その後ろにビダルがいる。ビダルの役割は後方からパスを出すピルロからボールを受けてつなぐようなことをたくさんする。ようするにピルロと前線の中継係みたいな。そしてブチニッチマルキージオに中央に入ってくるクラシッチやペーペが入ってきたら、あとは崩すだけみたいな。ユベントスのプレスをミランは回避できないし攻撃が悪すぎるのでサンドバッグ状態に近くなる。

 しかしミランは必死に中央を固めて守備をする。これはミランの得意技。そこをたまに崩してチャンスを作ってもアッビアーティがそこにいた。ミランの守備は良かったけど、サンドバッグ状態が続けばそのうちにやられてしまいそうでもある。ユベントスからすれば手詰まり感がする攻撃でもあったが続けていけば何かが起きそう。こんな感じで前半が進み後半もこんな感じで時間が進んでいく。

 ユベントスは後半途中からクラシッチに変えてジャッケリーニを投入する。ミランからするとフレッシュな選手は選手でもちょこまか動きまくるジャッケリーニなのでなかなか嫌な選手が投入された印象。んでアッレグリカッサーノに変えてエマヌエルソンを投入。守備の安定が狙いだったのだろうか。

 でも、エマヌエルソンの投入で悲しいのは、いざカウンターってなった時にエマヌエルソンパスミスばっかりでカウンターのチャンスをエマヌエルソンが潰していったことであった。ロビーニョならこんなにはならないのにね。でもロビーニョはいないというわけでミランのサンドバッグ状態がさらにレベルアップしていく。もう、攻撃できないじゃんみたいな。

 さらにミランには超痛手のネスタの負傷。これでネスタからアントニーニを投入する。そしてボネーラをセンターバックに。ジェペスはどこに消えたんだと。もう引き分けで良いやってわけになったそうでノチェリーノからアンブロジーニを投入する。しかし残念なのは、そんな守備固め的な交代をしたあとにユベントスの華麗なパスワークからマルキージオの先制点が決まってしまったこと。なんともたちが悪い。

 そして最後に攻めようとするミランだけど攻撃が意味不明なレベルに組み立てられないので残念な攻撃ばかりが目に入る。交代枠も使い終えたので、もうダメだこりゃってなるミラニスタ。1点のリードがセーフティーリードに見えるユベンティーノ。そしてトドメはボアテンクの退場とアッビアーティのトンネル。絶望のそこに叩き落とされたミランであった。

 ◆最後に

 ミランは改めて中盤のクオリティーの無さ露呈した。それはユベントスに流れを与えてしまったことからわかる。セードルフもフル稼働なんて無理なのでアクィラーニは頑張るんだってアクィラーニがダメなら冬の移籍市場まで我慢だな。予防はロビーニョだけど、サンドバッグ状態になったらイブラヒモヴィッチとパトのコンビが一番に何か起きそうな気がするけど、パトはまた消えてるのか。