カッペロ仕様のイングランド対どこかで違いが欲しいスペイン

スペインとイングランドのスタメン。





まずこの試合に挑む両チームの状況を整理しようぜ。イングランドもスペインもユーロの予選を突破してる。ということはユーロに向けての実験の意味合いが強いかもわかりません。しかし、この試合のウェンブリースタジアムは最近の代表の試合では入ったようなので何とか国民の前で世界王者をやっつけたいのはイングランド

でも両チームとも本当に強さを証明したいのはユーロの舞台。なのでユーロに繋がる試合ができればいいなと思ってそうである。ユーロはまだまだ何ヶ月も先だろうけど。ちなみに両チームの監督は「バルサのようには戦ってはいけない」と言うカペッロとレアルの元監督なのにバルサのサッカーをやってるデルボスケである。

■イニシアチブをとるのはもちろんスペイン

最近イニシアチブという言葉を聞いたりする。意味は物事を率先して行う、というらしい。これをサッカー用語に変換すると主導することのよう。なのでこの試合のイニシアチブを握ったのはスペインである。別に主導権という表現でも良さそうな気もする。結論を言っちゃうと、この試合のイニシアチブを握ったのは最初から最後までスペインであった。

まず、ざっとスペインのスタメンを眺めると水を運ぶタイプの選手がかなり並んでいるな、という感じ。ブスケツ、シャビ、イニエスタアロンソ、シルバ。なので中央渋滞が心配されたり。対するイングランドはパーカーをアンカーに、ランパード、ジョーンズを中盤に配置している。彼らの役割は守備に重点をおいてるよう。

つまりスペインが欲する中央のスペースを開けないように固めることが、ランパードとジョーンズの一番の狙い。ようするにイングランドはかなり守備的な色のカードを出してきたという様子。カペッロが攻撃的な色のカードをちゃんと持ってるかは非常に怪しいところではある。でもカペッロはそうやって結果を残してきた監督なので、カペッロらしくもあったり。

また、シルバはセンターバックの位置から中盤に降りるゼロトップのような動きを見せるので、これに対してはレスコットジャギエルカマンマークでついていく、中盤に受け渡せるならば受け渡す。その受け渡しはスムーズに行われていたので、マークの受け渡しのミスから、守備が壊れそうなシーンはイングランドにはなかったと記憶している。

そしてこの試合の前半の特徴というか問題というか、である。





やはりシルバもイニエスタも中央でほとんどの時間を過ごそうとしてきたスペイン。さらにアロンソもシャビも同じようなゾーンでの活動時間が多くなる。そのゾーンとは中央付近である。イングランドが固めてきたのは中央である。つまり中央を固めてきたイングランド対中央にテクニシャンを集めたスペインの正面衝突である。

でも、これじゃ最終ラインの裏を狙ったりと、違うことができるのがビジャくらいしか居ないじゃんということになる。しかし、シャビ、イニエスタアロンソ、そしてシルバで中央を割れれば結果オーライでなんとかなりそうだけど、パーカーを王様とするイングランドの分厚い壁がある中央なのでなかなかつらいところである。

つまりもっとサイドから攻撃を仕掛けていく必要があるところ。または前線からレシーバーになれるペドロのような存在も欲しいところである。しかしスペインのサイドはサイドバックアルベロアとアルバがサイドに張る形だけのが多かった。たまに中央にいるテクニシャンがサイド攻撃に加わる動きを見せたりしたけど、イングランドのサイドの守備をを困らせるシーンはあまりなかった。
 
それで後半からスペインがどう動いてくるかは注目のところ。でもランパードに後半いきなりセットプレーから決められた。なので追いかける立場のスペイン。





シルバとシャビに代えて、セスクとマタ。ちなみにウォルコットからダウニングへの交代。第一印象はそれでいいんかいデルボスケさん。しかし、ベンチを眺めたらペドロが居ないことに気づいた今日この頃。つまりスペインが大変な部分は脇役が居ない時なのかも知れない。そんな話は聞いたことはあんまりないけど。

メッシのイニエスタたちとの大きな違いはゲームを壊せる部分にある。ということはメッシが居ないスペイン代表はそれをごまかさないといけないよう。バルサになるには。その役割はビジャやジョレンテやナバスやトーレスたちになるのだろうか。ほんとは高い組織力でごまかすのが良さげだけど代表にそんな時間はあるのだろうか。そこはデルボスケの腕の見せ所。

また、気になるのはシャビが居なくなってパス回しのテンポがビミョーになったところ。単純にスペインのプレスが弱くなった、だから時間が与えられるイングランドの中盤は繋げるときは繋ぐ、奪われそうになったらさっさと蹴り出す。それでイングランドがボールを持ったのがそう見えた原因かなと。デルボスケはセスクを中盤に下げてからどうかしようとしたけど。

それで、セスクを中盤に下げるためにブスケツに代わってからトーレスであった。中央に配置されたトーレスは固められた中央ではなかなかボールをプレイできないので、いじけていたかもしれない。セスクを中盤に下げたからリズムが戻ったというよりは、パーカーたちが繋ぐ時にミスをするのが嫌になっちゃったからイングランドが繋ぎたくなくなってもとに戻ったというのが正解かもしれない。

それでもセスクは長短のパスでスペインの攻撃を支えていたかなと。セスクがあんまり動きまくるからイニエスタが行方不明になっていたのは内緒のお話。。トーレスはサイドに出てきたりする動きをもっとしがいいなと。たしかに中央に居たらそれはそれでイングランドも怖いだろうけど、おいらが知ってるトーレスは色々できるぞと。

また面白いのはビジャの動き。ビジャはかなり広く動いていたのが印象的。イニエスタが消えたのはビジャが左サイドスタートでイニエスタたちがいるところまで下がってきたりしたのも理由の一つかなと。イニエスタからカソルラに代わったけど、ジョレンテでも良かったかなと。アルベロアが良いクロスを上げてたし。

■最後に

イングランドはユーロ本大会までにいかにしてカペッロが攻撃の色のカードを磨くか。ルーニーはグループステージでは出れないのでどうするのかな。スペインはどうやって攻撃を仕掛けるのか。長い時間ボールを持ってるにしてはシュートが少ないなと。人材豊富なスペインには色々と選択肢はありそうだから何とかなるかと楽観的。もし組織力を極めて行くならデルボスケの真価が問われるときか。