ミラン対ラツィオ 〜どこに移動するんだ〜

ストライキの影響で2節からの開幕となったセリエA。そして開幕から興味深いカードがみられるということになった。特にラツィオラツィオは今季のセリエAのダークホースだと思っている。

アッビアーティアバーテネスタ、チアゴ・シウバ、アントニーニ、アンブロジーニガットゥーゾアクイラーニボアテング親分、イブラヒモビッチカッサーノ

ビサーリ、コンコ、ビアーバ、シアス、ザウリ、レデスマ、ブロッキ、エルナネス、マウリ、シセ、クローゼ。

やはりスタメンを見てから気になるのはラツィオ。前線が豪華じゃないかと。ようするに大型補強。シセとクローゼが特に目立つ。ミランアクィラーニカッサーノがスタメンにいることが気になる。プレシーズンのカッサーノはノリノリだった印象。とりあえず調子は良い。アクィラーニに関しては中盤でどんな違いを見せられるのか。注目はそこ。

'''◆ラツィオのスペース見っけ'''

まず、ラツィオの攻撃から見ていくことにする。そしてラツィオの攻撃で重要なのは両サイドハーフの位置となった。前線にはクローゼが1トップのようになりトップ下にいるのはエルナネス、左サイドにはシセと後ろからサイドバックのザウリ、右サイドには前にマウリと後ろからサイドバックのコンコが存在した。レデスマとブロッキは後方からの支援が主な仕事であった。

最初に両サイドの動きを説明する。マウリとコンコから。マウリは一度中央に入ってからレデスマやブロッキからボールを受ける。そしたら右サイドにはコンコがオーバーラップするスペースができるのでコンコがオーバーラップをしてボールを受けたらコンコに絡んで行ってクロスをあげたりして仕掛けようとしていた。これが基本的な動き。クローゼへのクロスは見事であった。そのあともミランにとっては怖いクロスを上げていた。そのクローゼとの入れ替わりでフォワードに変身することもあった。

シセはフォワードに変身することがたくさんあった。もちろんサイドから仕掛けたりもする。しかし重要なのはフォワードに変身するということ。クローゼとのポジションチェンジというパターンもあったが基本的にはクローゼとシセの2トップになる形。シセがフォワードに変身するということは左サイドにもスペースが空く。そこでオーバーラップするのはもちろんザウリなんだけれどもエルナネスも登場していた。とりあえずシセは点は決めた。

そのエルナネスの仕事は広範囲に動いてクローゼ、シセ、マウリが開けたいろんなスペースに入ってきていた。特にシセがフォワードに変身したときの左サイドには頻繁に出てきていた。さらに守備意識があまり高くないシセの代わりに左サイドの守備を担当したりとしていた。前半は自分の判断で。後半からはシステムを変えてシセの守備意識の低さをごまかしていた。

まとめるとシセとマウリがどの位置をとるのか、クローゼとのポジションチェンジをどうするのか、それぞれの状況にあわせてエルナネス、コンコ、ザウリの判断で空いたスペースを利用する。さらにそこには左ならエルナネス、右ならマウリが登場するので2人は人数がいる形。なんなら攻撃のときはシセとクローゼの2トップでエルナネスとマウリがサイドにいるって言ったが良いかもしれないけど完全にそうなるのは後半の話。ちなみにアントニーニとアクィラーニで守る左サイドへの攻撃が有効であった。

'''◆アクィラーニの登場とかで'''

簡単にミランの前半の攻撃のときの動きを説明する。まずシステムはイブラヒモヴィッチカッサーノの2トップ。トップ下にはボアテンク。左インサイドハーフにはアクィラーニ、右インサイドハーフにはガットゥーゾ、アンカーにはアンブロジーニ。右サイドバックにはアバーテ、左サイドバックにはアントニーニ、センターバックにはネスタとチアゴ・シウヴァ。キーパーはアッビアーティ。もちろんこれは守備のとき。今日は攻撃のときに2.5個の試みが見られた。

まず1つ目の説明から。ようするに試合の前半によく見られたパターンから。アクィラーニは攻撃のときには左インサイドハーフのような位置には存在しなかった。ようするにトップ下は左インサイドハーフだよ方式。右インサイドハーフにいたガットゥーゾも上がってきてはいたがアクィラーニガットゥーゾの比較である。アクィラーニが出てくる左サイドよりの攻撃が多くなった。

そこでアクィラーニからボールを引き出すのはイブラヒモヴィッチであった。そしてイブラヒモヴィッチラツィオセンターバックの前から消えるのでそこに入ってくるのはボアテンクにガットゥーゾというメンツであった。さらにアクィラーニイブラヒモヴィッチにボールを預けたらそのまま果敢にゴール前に飛び出して行っていた。セードルフには無いものである。

しかし中央でそんなことをやるだけでは崩せる訳もない。そこで重要なのはサイドからの攻撃。左寄りからの攻撃が主だったのでアントニーニの出番である。でもアントニーニだけでは何もできそうもないのでカッサーノが左サイドに出てくることが目立った。しかしそこの良かった点は流動性が保たれたこと。左サイドに出てこないときも少し下がることでカッサーノはスペースを産み出そうともしていた。そんなカッサーノから同点になる二発が生まれる訳である。

'''◆シセの位置で'''

試合は前半の途中からシセがフォワードに変身したあと左サイドに戻ってこないことがでてきた。そこでフリーになるのはアバーテ。そのアバーテはいきなり試合に登場して頑張った。攻撃に横幅をもたらそうと。しかしアクィラーニがいるのは左サイド寄りであるのでそちらを中心に攻撃を組み立てているミランアバーテは孤立するのである。

ならば後半。ラツィオはシセとクローゼの2トップに完全に変更してエルナネスを左サイドにして守備を安定させる狙い。さらにミランがカウンターが地味に怖くなるように。ならアッレグリの修正はアバーテを孤立させないことと攻撃に左右のバランスを与えることを一緒にやるのである。といってもこれは2つで1つのようなもの。

はなしは簡単でイブラヒモヴィッチ、ボアテンク、カッサーノの誰かが右サイド寄りにポジションをとらせる。アバーテの近くにレベルが高い選手を置こう作戦。これで援護を受けたアバーテは輝こうとする。主にボアテンクが右サイドにきていた。

しかし問題はゴール前に誰がいるかということ。ガットゥーゾから交代したアンブロジーニくらいしか常にゴール前に出てくる選手がいない。アクィラーニは後半からはほとんど消えていた、ボアテンクは右サイドへ、イブラヒモヴィッチカッサーノは低い位置に降りたりサイドに行ったり。というわけでゴール前の質が悪くなった。

さらにミランはカウンターも受けていた。ようするにシセとクローゼにあてていってよろしくお願いしますってパターン。しかしカウンターを受けたシーンでネスタの意地が見られて良かった。どうやらラツィオサンシーロミランから1ポイントを頂ければ良いとのことだそうでゴンサレスをクローゼに代えて投入してトップ下を作り守備を固める狙い。

中央のメンツが悪くて守備固められた雰囲気なのでアッレグリはパトを投入してイブラヒモヴィッチと中央で勝負させる形に変更した。トップ下に移動したカッサーノがボールを引き出す役割。サイド攻撃は再びアバーテアントニーニだけに託されたけど狙いはアーリークロスネスタもチアゴ・シウヴァも。

だけどもここで困るのはイブラヒモヴィッチとパトの使い方。カウンターを仕掛けるときは簡単で放り込んでセンターバックと勝負させるだけ。しかし自分たちがボールを持ってるときはどうイブラヒモヴィッチとパトをあの形で生かすんだって話になっていた。そんな感じで審判の意味不明な判断でコーナーキックを蹴れないミランの開幕戦はなんだか変な雰囲気で終了した。

'''◆最後に'''

ちなみにゴール前の質が下がった1.5個目の戦い方をおすすめしたい。もちろんアレンジを加える前提で。そしたらバランスのとれた質の高い攻撃ができそうな予感。あと最後のイブラヒモヴィッチとパトをセンターバックと勝負させるやり方はバルサ戦では楽しそうだなと思ったけどイブラヒモヴィッチは欠場らしい。さてアッレグリバルサにどんな戦い方で挑むのかな。そこが一番の楽しみ。