〜アヤックスが楽しいぞ〜 アヤックス対リヨン

アヤックスが魅力的だぞ、アヤックスが楽しいぞ。ということである。どっちらかと言ったら楽しいという表現が正解のように思えた。シティ対ナポリを書くつもりだったんだけれどもこちらの方が楽しいものを見られたので。注目はもちろんアヤックスである。グループステージの今節ので一番のインパクトを与えられた。ちなみにアヤックスのコーチ陣は優秀でなおかつ豪華らしい。監督はフランク・デプール。

アヤックスのスタメンはフェルメール、ファン・デル・ウィール、アルデルワイレルド、ヴェルトンゲン、ボイレセン、ヤンゼン、デヨング、エリクセンスレイマニ、ブリーフテル、シグソールソン。デヨングと言えばシティのデヨングが思われるけれども全く違うプレースタイルのデヨングである。ステケレンブルグがいなくなってキーパーはフェルメールがチャンスをしっかりいかしている模様。

リヨンのスタメンはヨリス、レベイレール、コネ、ロブレン、シソコ、ゴナロン、シェルストレーム、ブリアン、ミシェウ・バストス、グルニエ、ゴミス。グルキュフはケガらしい。グルキュフの才能はいつ開花するのだろうか。もう成長しない、みたいな落ちだけはやめてくれよ。

◆リヨンについて

アヤックスはボールポゼッションが60パーセントだった。ようするにアヤックスの方がボールをたくさん持っていた。アヤックスがポゼッションで、リヨンがカウンターを狙う。という訳でリヨンの守備とカウンターから大雑把に書いていく。リヨンのシステムは4-4-1-1と捉えられる。なので守備ブロックは4-4で作って守る。このブロックの最終ラインの4と、その前の4の距離感は悪くはなかった。

前の二人、ようするにゴミスとグルニエは縦の関係で守備につく。グルニエに関しては中央でヤンゼンを見ていることが多かった。ゴミスはアヤックスから見ての右側のセンターバックのアルデルワイレルドについていた。なので左側のヴェルトンゲンはフリーにしていた。考えられるのはヴェルトンゲンよりアルデルワイレルドがゲームを作る能力が高かくてヴェルトンゲンはパスを散らす能力が低いのか。

しかし、両センターバックについてはこの試合だけでは能力は判断できそうにない。でもフツーにドリブルでボールを運んでいた。フリーになってたからと考えるのがいいのかな。しかしアヤックスセンターバックだから、なんだかんだと考えられもする。

左サイドを見てみるとミシェウ・バストスがいる。彼はドリブルで切り込み隊長の役割ができるよう。そこから考えられるのはゴミスが左側のセンターバックのアルデルワイレルドについているのはミシェウ・バストスの守備への負担を減らすため。ミシェウ・バストスがカウンターの時に生きるように。ミシェウ・バストスのドリブルを使うカウンターがたくさん見られたので可能性は高い。

しかし4-4でブロックを作るリヨンなのでミシェウ・バストスも守備ブロックに加わる。そこでカウンターの起点になりそうなのはセンターバックについているゴミス。予想通りカウンターの起点になろうとセンターバックと勝負していた。頑張っていた印象。チャンスもいくつか作ったがキーパーのフェルメールに止められた印象。やはりフェルメールはチャンスをいかしている。

◆攻撃は最大の防御

それはアヤックスの実践したいことである。まさにそんなサッカーを展開するアヤックスであった。システムは中盤が逆三角形の4-3-3である。後ろは右からファン・デル・ウィール、アルデルワイレルド、ヴェルトンゲン、ボイレセン。アンカーにヤンゼン、センターハーフにはデヨングとエリクセン。まえには右からスレイマニ、シグソールソン、ブリーフテル。このようなシステムであった。

基本的に後ろに残るのはボールを前線に送ったセンターバックだけ。アヤックスはそれ以外の選手で攻撃して攻めている。だから、リヨンは必然的に数で不利にならないように守備に人数をかける。攻撃に人数をかけるアヤックスと守備に人数をかけるリヨンの対決である。という訳でセンターバック以外は攻撃の局面にみんな出てくるアヤックスである。そんな形でリヨンは押し込まれるのであった。

しかしカウンターが全く来ないなんてあり得ない話なのである。そのカウンターに対しては、前線に残るゴミス対二人のセンターバックなら大丈夫だろうという話になってるのであろう。しかしミシェウ・バストスがおかしな運動量と素早い切り替えで上がっているのが一番の脅威であった。高い位置にいるサイドバックが空けたスペースをドリブルで切り裂くのが狙い。攻撃に人数をかける分、守備に人数をかけることはできないのでカウンターへの脅威を常にあり続けた。

しかし攻撃的なスタイルをリスクをおかしながらもやめないのがアヤックスである。そんなたくさんの人数をかけるアヤックスの攻撃は、基本的に低い位置からのポゼッションから攻めて、高い位置からの守備でショートカウンターを狙っていく組み合わせ。高い位置からの守備はリヨンの選手たちに見事に効いていて、ショートカウンターって場面はたくさんあった。んな訳で攻撃の内容を説明していく。

サイドバックは高い位置に進出してリヨンの両サイドハーフを押し込む。仕掛けの役割もできるファン・デル・ウィールが特に目立った。前述した通りにセンターバックにはゴミスがアルデルワイレルドついていたので、ヴェルトンゲンがフリーになりドリブルでボールを運ぶ。アンカーのヤンゼンはグルニエがついているのであまりボールを受けないでいる場面が多かった。しかし守備からグルニエを消していたとも考えられる。

そんな利点を使ってフリーになっているヴェルトンゲンはドリブルでボールを運ぶ。そこから前線に自分でパスを出したり、ゲームを作る能力が高そうなボイレセンという左サイドバックにパスを出して彼にパスを散らさせる。フリーでヴェルトンゲンがボールを運べるということはリヨンの後ろには人数がいるということ。なので重要なのは前線のボールを引き出す動き。

その前線のボールを引き出す動きをするのはエリクセン、デヨング、シグソールソンであった。結論を言うと中央でタメを作ってサイドで勝負であった。後ろからボールを引き出すのはエリクセン、デヨング、シグソールソンのポジションチェンジから。そのポジションチェンジの狙いは的を絞らせないようにだろう。この3人はテクニックもあり流動性のあるポジションチェンジは楽しかった。

さらに中央でタメを作るということはエリクセン、デヨング、シグソールソンが中央でボールを保持しなければならない。彼らは人と人の隙間、僅かなスペースをポジションチェンジから作り出し中央でタメを作ることに成功していた。という訳で舞台はサイドになる。サイドにいるのは右はスレイマニとファン・デル・ウィール。左はブリーフテル、ボイレセン、そしてエリクセン

右サイドは個人技のスレイマニとファン・デル・ウィールで崩していこうとする。左サイドはブリーフテルとエリクセンのポジションチェンジに、後ろから支援してたまにオーバーラップするボイレセンによって行われる。ここでも登場するエリクセンはおそらく攻撃の核。サイドに出ていっても仕事をしていた。幅広く動けてテクニックもある素晴らしい選手との感想。

両サイドともそこからクロスを上げていくのが狙い。中央には逆サイドの選手とシグソールソン、デヨングが登場していくので中央には3人はいることがほとんどであった。ボールを運ぶときは広く、ゴール前に近づくにつれて狭くなっていく攻撃のお手本のようであった。しかしゴールが入らない。理由はキーパーのヨリス。彼は素晴らしかった。おそらく初めてみた選手。聞いたことはあった。

なので試合はアヤックスショートカウンターやポゼッションでチャンスを作ってもヨリスがそこに立ちはだかり、リヨンがカウンターからチャンスを作ってもフェルメールがそこにいる。両チームのキーパーが見事に試合を壊していた。そんな雰囲気で試合は終了した。

◆最後に

謎はある。アヤックスの謎。アンカーの組み立てのときの役割である。消えることで相手の守備からグルニエを消してるんだなって思ってたら、フランク・デプールさんは後半の途中でヤンゼンに代えてアニタという選手を投入した。そしたらヴェルトンゲンの前のスペースを使ってパスを散らしまくるアニタなのでアンカーの役割についてはどうなのか。そこら辺は不透明であった。ヴェルトンゲンがゲーム作れるかどうかわからなくなったのもゴミスの守備の役割とアニタのこの動きが原因であった。

一応、今回見たアヤックスのやりたいことをまとめると。。。キーパーからしっかりつないでビルドアップをして、エリクセン、デヨング、シグソールソンがポジションチェンジからボールを引き出して中央でタメを作り、サイドに預けてサイドで勝負でクロス、中央に人数を集めてシュートチャンスを作るみたいな。さらに高い位置から守備をしてショートカウンターを炸裂させる。こんな感じ。

まだ、全然しっかりとは見れてない感じなので機会があればアヤックスはリーグなりマドリー戦なりで再び見てみたい。とりあえず優秀なコーチたちと魅力的なサッカーを実践しようとしていることがわかって頂ければ。