2つの表情を作ったリヨン対カウンターが強くて面白いレアル・マドリー

リヨンとレアルのスタメン。





レアルはずっとリヨンに勝ってなかったが去年のチャンピオンズリーグで歴史が止まったのは新しい記憶。歴史が進んだ瞬間という表現のほうが納得できたりするのであるけど。それでベルナベウで行われたのもレアルが勝って、今日はリヨンのホームである。いまだレアルはリヨンのホームではリヨンに勝ってないらしい。そんなのたくさんあるのだろうけど。

それでこの因縁の戦いは、攻撃から試合に入るレアルと守備から試合に入るリヨンのがっぷりよつの取っ組み合いから始まった。それにしてもリヨンのスタジアムはいい雰囲気だなといつもながら。ジェルマンという名前のいいスタジアム。ちなみにリヨンはたくさん出会ったけど今季のレアルは初めて見る。リヨンも久しぶり。

■ちょっと変化してるリヨン

リヨンの守備から整理していく。リヨンは4-4でブロックを作ってからバイタルエリアのスペースを消して守備を始めるのはいつものことである。グルキュフも、ゴミスもちゃんとコースを限定したりして、守備に貢献するのも特徴である。そりゃそうだ!という話ですが。そして慎重な姿勢のリヨン。守備から試合に入った印象である。

といってもゴミスはあまり低い位置まで下がってから守備をするわけではなく、カウンターからの攻撃を狙いたいのもまたリヨンのやりたいことである。リヨンのカウンターと言えばゴミスへのロングボールからゴミスがセンターバックに勝利してボールをキープしたらレッツ・カウンターというのが今までたくさん見られたけど、この試合はどうも違う雰囲気であった。

答えはグルキュフの復活である。いつの間にか復活してたので嬉しいって感想も。ボランチのシェルストレムもゴナロンもフツーに繋げるので、グルキュフをいかすにはロングボール作戦より、グランダーのパスを多様して攻撃したいという狙いであると推測される。ゴミスもプレーの幅が広いので負担が軽減されたよう。

といっても、もちろんロングボールも含めていくリヨン。理由はレアルのプレスに苦しんだときの苦し紛れのロングボールという状況、または単に狙ってのロングボールである。残念だったのは前者の方が多かったことである。もちろんグルキュフの復活でロングボール作戦を狙ったのが少なくったのを忘れてはいけないところ。ようするに苦しくなけりゃ繋ごうと。

そんなこんな言ってもレアルの使えるスペースをコンパクトな陣形を保って消すことに比重を置いてきたリヨン。いくらホームと言っても相手がレアルということを考えての選択であるので納得。勇気を心に持ってピッチに立つのは後半のお話。開き直りか。

■レアルはどこを狙って攻撃する???

レアルからしたらリヨンがカウンターから攻撃してくれるのは全然嫌じゃないないってのが本音。というのもリヨンの守備ブロックを壊すのはレアルといえども正攻法では難しいものであったからである。リヨンの守備ブロックはとにかく中盤のラインと最終ラインが非常にコンパクトなのが特徴で、バイタルを利用するのはフツーに崩そうとしてもなかなかできないレアル。

なのでバイタル狙うのやめて、ベンゼマ、ディマリア、クリロナで最終ラインの裏を狙ってみるレアル。また、ケディラがエグい運動量で裏を狙っていたのも印象的。パス出しはブロックの外からアロンソやブロックの外でボールを受けるエジルなとであった。またコエントランやディアラを高い位置に上げてサイドからの攻撃をやろうともした。

しかし、レアルがチャンスを作れたのは、カウンターからのカウンターようなものからが多かった。そんなシーンではエジルが前を向いてバイタルエリアでボールを持つことでチャンスを作る、だけど、ベンゼマがヨリスとの対戦でことごとく負けたのでなかなかゴールを生まれない。でもエジルのポジショニングの良さから生まれたチャンスということはメモ、メモ。

そしたら、ショートカウンターような形からクリロナフリーキックをそのまんまゴールに沈めそうな位置でファールをもらうとクリロナが決めちまうのでレアルが先制したのであった。よく見てみたらスゴい変化してるフリーキックである。試合を壊せる選手とはまるでクリロナのことよ、みたいな感じですね。

レアルの攻撃は裏のスペースを狙い続けるのが特徴なのかなという印象もしたけど、そこはエジルのポジショニングからアロンソのパスでエジルバイタルエリアでボールを受けるシーンもあったのでビミョー。ポゼッションからの攻撃ではどこを狙うのかはよくわからないレアルであった。単純に組み立てのバリエーションが豊富というそれだけかね。

■開き直ったリヨンの前プレ発動の巻で

試合は後半からレアルがカウンターからリヨンの息の根を止めようとするような展開が多くなった。まずは一つの原因はリヨンの守備のやり方にある。





リヨンは後半から4トップに変形するような形で前からのプレッシングでの奇襲を試みた。上の図はマッチアップである。ようするにリヨンは勝ち点が是が非でもほしいので捨て身の前プレを実行したのだ。それに苦しむ後半の入りのレアルのビルドアップであった。

でもレアルも前プレに慣れたのか、リヨンの前プレが襲ってきたらロングボールから前線の個人技からのスピードある攻撃を始めてきたのである。それまた困るリヨン。幸いなのは全員の守備意識が高く前プレ隊の引きが早いことであった。といってもそんなのずっと持つわけないので前プレが決まってショートカウンターでもセットプレーでも何でも点が欲しいリヨン。

そんな言ってもレアルがロングボールを蹴るということはリヨンの前プレは機能しているので、リヨンがポゼッションから攻める展開も少なくはない。というか、レアルの方が後半はカウンターからの攻撃の雰囲気を出していた。リヨンはポゼッションからの攻撃の時にボールを奪われるのが一番嫌だけどそんなこと言ってたら勝ち点はないという。。。んでリヨンは開き直ったらしい。

しかし、ポゼッションからの攻撃の時に中盤でボールを失う場面が多かったのはリヨンであった。レアルのプレスは最近見た試合の中では天下一品のものという感想。異常に迫力を感じた。そんなプレスからのレアルの恐ろしいカウンターの発動である。カウンターも天下一品のものであるというのがレアルで。





レアルのカウンターは狙いがはっきりしていてベンゼマが黄色で表した裏のスペースに抜け出してからスタートするのが多かった。またクリロナとディマリアもそんな動きをしていたので裏のスペースをどんどん突いていくのが狙い。クリロナとディマリアは白で表したゾーンにボールが来る時も。前プレ回避のロングボールからの攻撃でも、リヨンのポゼッションを潰してからの攻撃でも。

でも、なんだかんだでレアルはリヨンの最初の関門である前プレをかわすか、リヨンが前プレに行けないからリトリートするという判断をしたらポゼッションからの攻撃ができるのでそこからの崩しも期待されるのである。といってもどこを狙うのかはやっぱりビミョー。でもエジルの閃きは大きな武器になるところ。

というわけでリヨンは前プレが決まるか、ポゼッションからレアルの守備を壊せるか。レアルはポゼッションからか、ロングボールからの攻撃か、中盤のプレスからのカウンターでクリロナたちが爆発するか、そしてそのどれかでとどめをリヨンに刺そうと。そんな雰囲気で試合は進んで行く。

そして勝利したのはレアルであった。ヨリスのミスというか、トラップミスするなよとか、話を進めるとブリアン戻れよって、エジルを自由にさせ過ぎだろと。ブリアンが戻ってエジルを自由にしなかったらやられなかったと推測。エジルクリロナのコンビネーションでPK獲得は見事であった。ブリアンは前プレの疲れか。しっかり沈めて試合を決めるクリロナ

■最後に

リヨンはグルキュフが戻って来て初めて見たけど、トップ下がコロコロ変わっていた状況は解決の方向へ。レアルはカウンターが恐ろしかった。カウンターからのスピードある攻撃の方が見ていて面白かった。レアルはいつものを見てないからよくはわからないことが多いけど、レアルにはまた出会いますように。グループステージ突破を決めたよう。ミランはレアルをたおせるかな??(笑)