ミュンヘンの舞台で再び会いましょう 〜ミラン対バルセロナ〜



この試合はグループステージの首位を決めるための戦い。だけどグループステージの首位になってもハズレくじを引いたらそれまででかもしれない。だけど1位で突破してきたチームより2位で突破してきたと対戦するのが良いのが本音だろうか。その辺はガチバトルになったこの試合を見ればわかる話。つまり首位で突破したいらしい両チーム。そりゃバイヤンとかレアルとかと当たるのは真っ平ゴメンである。

少し気になったのは審判について。あんまりにも試合を止めすぎじゃねっていう感想。ガゼッタによるとブンデスリーガ最低の主審とか。判定にブレがないから良いかといえば、なかなかブレてた様子。よくわからないけど。でもミランにもバルセロナにも悪影響をもたらしていた。つまり試合に悪影響をもたらしていたことは否定できないかなと。

■今日のミランの雰囲気はこんなんです

ミランの好きな色のカードはなんだろうか。セリエAの戦いでは自分たちでイニシアチブを握って戦う色のカードを使う。また、カンプノウで見せたバックラインを非常に低い位置下げてゴール前で攻撃を跳ね返す守備的な色のカードも持っている。ならば今日のミランの色のカードは何んだろうかと予想すると、目の前の敵はバルセロナなので、カンプノウで見せた色のカードを考えるはず。

しかし、今日の立ち上がりのミランは違う色のカードを出してきた。それはまずバックラインにある。今日の立ち上がりのミランはバックラインを高く保ち、序盤から積極的な姿勢を見せてきた。理由はホーム補正とバルセロナに勝たないとグループステージの首位はできないからといったところか。バックラインを高めて積極的な姿勢とはつまり高い位置からのプレッシングである。

ミランのシステムは4-3-1-2。このシステムで前からプレッシングに行くのはあんまりオススメできないのが本音。このシステムで前からプレッシングに行った場合は敵のサイドバックへ対するケアを考えないといけない。相手のサイドバックのドリブルを使ったビルドアップがやりたい放題になるパターンが多いからである。そうやって中途半端なプレッシングになるのでこのシステムで前からプレッシングは辛い。

しかし今日のバルセロナは3バックである。そこでミランはやっぱりボアテンクとイブラ、ロビーニョの3トップ気味にプレスを掛けることでシステムを噛み合わせを狙っていた。さらにアクィラーニセードルフまで前にプレッシングに行くんだから相当である。アクィラーニなんかアビダルに襲いかかるような勢いも感じた。てか襲っていた。とにかく気合たっぷりのミラン

■平たく言うとバルセロナの攻撃をコントロールしよう

今日のミランの守備で面白いのはファンボメルのプレーしていたエリアである。いつもならもっと低い位置でプレーしているはずのファンボメルの守備時ののポジショニングが高くて変だった。理由を考えてみる。とミランがアホだったという説。これはないかなと。監督はアッレグリ。彼はそんなミスをするような男ではない説が有力。それにファンボメル率いるミランの中盤がアホやらかすのは信じられないかなと。

次に、ミランが前に出てきたからという理由。ミランは普段からイニシアチブを握った時でも2ラインの間のスペースは空けないないようにしている。さらにこの試合はセリエAでの戦いよりはホリバレント性のないミランの攻撃であった。そこはバルセロナ補正。なので前に出てきたから空いたというのは違う。それなら完全に2ラインのスペースをしまうことができたはず。でもしなかったミラン

 もちろん、バルセロナの中盤に数を掛けて守備をやりたい狙いもあったとも考えられる。てか中盤の守備はそれでかなり助かっていた。しかしそれ以上に深い理由が考えられる。そうじゃなけりゃ、中盤と最終ラインの2ラインが空いてるのはなぜだったんだということになっちまう。なので推測しながら考えてみる。

前に話したように、縦へ進む意識の高いチームはボールを持ってる時間は短くなる傾向にある。んでその問題のバルセロナは真逆の位置にあるチームということはよく言われること。つまりボールを持ってる時間を長くするチームの代表みたいなものである。よく世界一横パスとバックパスを使うチームという表現を聞く。ミランバルセロナのそこの部分を何かしようとしていた。多分。

それで、あえてファンボメル達とネスタ達の2ラインの間のスペースを開けることでバルセロナをそこに誘い込む作戦。無理矢理バルセロナに縦へ進む意識を加えてしまおうぜ、というなんとも試合巧者的なやり方である。現実にバルセロナがそこのスペースにボールを入れてくるシーンは頻繁に見ることができた。つまり守備の工夫でバルセロナの攻撃をコントロールしようと試みたような感じのミラン

しかし、そのスペースにボールを誘い込むのは良いが、おまえたちは守ってくれるのか??という疑問である。そこはファンボメルネスタとチアゴシウバのトライアングルが非常に神経を尖らせていたよう。中央で動くセスクや試合開始時は右ウイングに配置されてたのに、いつの間にか中央に居るメッシが対面するバルセロナの選手であった。

中盤に降りていくセスクやメッシにはネスタもチアゴシウバもマンマーク気味についていくパターンが多かった。その2ラインの間のスペースでセスクやメッシがボールを受けた場合は、即座にファンボメルがラインを下げて挟み撃ちを狙う。さらにネスタとチアゴシウバはディレイ&ジョッキーを徹底して攻撃を遅らせるようにする、奪えるなら奪う。でもファンボメルの挟み撃ちは退場を予感させた。

ミランの狙いは、少しでもバルセロナのボールを運びを自分たちで誘導して、バルセロナのペースを乱したい。そのためにバルセロナに縦に早くボールを進ませるように前からのプレッシングを徹底して後方のバルセロナの選手たちの時間を削ろうとす。そうして、あえて普段ならありえないくらい2ラインの間のスペースを開けてボールを誘い込むと。つまりバルセロナの攻撃を自分たちで操る狙いかなと。

 1文で表現すると、バルセロナの攻撃を自分たちで誘導してバルセロナのペースを乱す。そんなところ。そうして序盤は主導権を持ったミランであった。別にボールを持つことだけが主導権じゃないのさ。キーポイントはミランの前線のプレッシングをする選手たちのスタミナがいつまで持つのか、中央に移動したメッシとセスクのコンビにいつまでネスタとチアゴシウバが耐えられるのか。だけどタチが悪いのはファンボメルオウンゴールで先制されたこと。意外にあっさりと。

■イブラのゴールから

しかし、やっぱり自伝の人である。セーさんのアシストから我らがズラターン・イブラヒモヴィッチの同点弾の炸裂。色々とこの試合に因縁をつけちゃった男が決めたので盛り上がるサンシーロ。でもね、その前にはね、得意の外し芸を炸裂させた男がね、居たのよね。我らがロビーニョの決定力不足は異常。たぶん日本代表を軽く凌駕してる。一度は調べてみる必要があるかなと。ミランに来てから軽く30点は無駄にしてる。そこには居るんだけどね。

それで試合の残念な部分が登場した。シャビが倒されてPKのシーンである。突っ込みどころはなぜ、ネスタにイエローなんだろうか。たぶんネスタが抗議したんだろうけどさ。んでメッシのおかしなPKの蹴り方。でもあんな予想外のプレーをするからメッシは凄いのかもね、という訳のわからない見解で突っ込みは終わらせます。ちなみにやり直しはちゃんと決めたメッシ。アッビは反応したのにね。

このPKのシーンの前くらいから、メッシとセスクが輝きそうなシーンが目立ち始めていたことを考えれば確かにわからないPKでもなかった。PKの後もメッシのスルーパスにチャンスを作られてしまうミラン。ビジャが決めてればバルセロナが試合を決めていたのだろうけど、アッビはシュートを止めるためにしか存在しないので、アッビを誉めるべきかなと。

バルセロナについて気になること、ミランの攻撃について

バルセロナはなかなかにぐちゃぐちゃな印象でした。つまりホリバレント性の塊のような印象。最初はブスケツ、ケイタ、チアゴ、シャビで中盤を構成しようとしてる雰囲気でしたが、途中からメッシとセスクのホットラインとでも言われていそうな感じになっていた。残念だったのはビジャでした。サイドに追いやられて不満でしょうに。メッシとの確執も匂ってきても確かにおかしくなかった。

ミランはアッビから繋いでビルドアップを丁寧にしていこうとしていた。だけどバルセロナのプレッシングが強いので苦しめられていた。でもリスクをおかしていこうといった様子のミラン。困ったときはロングボールでもいいんだぜミランは。別に後ろからの丁寧なビルドアップに拘りなんてないんだからな。といった場面はよくみられた。サイドに流れたイブラ達に素早く散らし、積極的に攻撃にはいけていたかなと。。

 ロングボールの先のフィジカルゴリ押しの対決ならミランに分がある。イブラが起点になれたらいいなと。といってもバルセロナのプレスに苦しんでミランの精度の高いロングボールは少なかったかなと。たぶんバルセロナのプレスはそれが狙いかと。なので後半からのパトの投入は何が目的だったんだろう。消えていたのでよくわからなかった。俺たちのロビーニョがあんなんだったからという理由が優先かな。

■ついでに後半を短くまとめてみよう

メッシがネスタ達との対決に勝利して決定的な仕事をやらせてしまいそうなシーンがたくさん見られるようになっていった。つまりバルセロナの攻撃をコントロールする守備をやっていくのはもう不可能に見えたミランだけど、ファンボメルはラインを下げなかった。さらにイブラヒモヴィッチたちのプレスの開始ラインも下がらなかった。熱い試合見えたのもミランのこの姿勢によるものかもと。だけどバイタルで仕事やられそうになっていったのは気になるところ。

しかしミランはそんな雰囲気をボアテングのスーパーゴールで粉砕した。ボアテングはあんなシュートが得意技だけど今回のはヤバかった。それで得点のもたらすメンタル面へのポジティブな作用はすごいなと。息を吹き返したなって思った矢先、またもバルセロナが凄かった。仕事をしたメッシ、飛び出したシャビ。このゴールは凄かった。メッシに気を取られ過ぎたのもあるけど。

それでネスタが怪我をしたミランは、ボネーラが登場した。もちろんボネーラはネスタでも苦しんだバルセロナのプレッシングをまともに喰らうので繋げない。それで攻撃の機会が3割りくらいは減ったかも。ボネーラからアッビへのバックパスばっかりなのは悲しくなった。それでも熱い試合は変わらずあっという間の90分が終わった。ネスタは大丈夫なのか。メクセスはどこへ消えた、タイウォも。

■まとめと、感想や思ったことを自由に

ミランバルセロナの攻撃を守備でコントロールしようと挑戦しましたが、バルセロナとの力の差は出たかなと。メッシ達にバイタルを上手く使われたことが試合を決めたのかなと。でもミランも自分たちでバルセロナの攻撃をコントロールしようとしたし、その姿勢を変えなかった。途中からカンプノウの戦いのように籠城するかなという予想を覆してくれたしね。簡単に言うと守備で試合をコントロールすることへの挑戦か。

ボールを支配することで試合をコントロールしようとしたバルセロナと、バルセロナの攻撃を守備でコントロールしようとしたミランの面白い対決になったかなと。でもバルセロナが試合をコントロールしたのが事実かなと。力の大きな差を感じた。守備で相手の攻撃をコントロールする精度を上げていけるかが注目。つまり試合巧者を極めるか。ミランが少し楽しみになった。まだまだ半端者だけど。希望はバルセロナと決勝で。そのときまでには、カサ坊とリーノは復活するだろうと。