僕らの不安な未来 〜インテル対レッチェ〜



 結果は4−1でインテルの勝利。だけど、未来は明るいと予想できる勝利かと言うと、その逆であった。このまま結果がごまかしていたら、あとから苦しむぞってとか、なかなかネガティブになる内容であった。運がよかったなと。運が悪いって思うシーンもあったけど、それは運が良かったからそうなったんだよって局面があったり。今のインテルは相手のミスからのカウンターしか活路がないのが現実かなって。そいう意味では今年最後の試合がレッチェ戦で良かったのかもしれない。

 ■前半のまとめと、ポジションレスのアルバレス

 この試合の前半の構図はボールを持って攻撃するインテルと、守備から試合に入ったレッチェという様子にかなり近かった。ということでまずレッチェの守備を見ていく。レッチェのシステムは珍しいものであった。いや、セリエAでは良く見られるけど、3バックである。





 3バック→5バックの方式で守備ブロックを形成する。ただ、ジャコマッツィとオリベーラは前に出ても大丈夫と判断した場合には、サネッティとモッタにプレスをかける場合がある。で、そのインテルは非常にビルドアップのくだらないミスが多かった。そこからレッチェショートカウンターが炸裂しそうになることもあった。てか、そうやってムリエルが先制点を決めてみせた。

 フォワードの守備を見てみると、5バックに変形した場合には帰還することはほとんど無い。ルシオやサムエルがボールを持っている時には守備に参加しようとするけど、インテルがビルドアップに成功したら帰還しない。理由を考えると、おそらく5−3のブロックで人数は足りてるから、カウンターの起点になれればという計算かなと。役割があったとすれば、5−3ブロックとの距離をコンパクトにしておくことくらい。

 で、たまにミスするけど、ルシオとサムエルも、モッタとサネッティも特にビルドアップおシーンで足を引っ張る選手じゃない。それに対面するのはオリベーラたちが前に来なかったら所詮2人である。というわけで、そんなにボールを運ぶことに苦労はない様子。次にボールを運んだインテルの攻撃を見ていく。





 基本的にアルバレスが中央に進出することで、後方と前線を繋ぐ。で、フォルランがサイドに流れることが多かった。逆サイドを見てみるとファラオーニがキープして、マイコンが追い越すのは相変わらず。で、パッツィーニは中央で勝負をしたい様子。だけどここで問題は変わっていなかった。仕掛けるところが見つけられてないなと。

 例えば、サイドから切り崩していくにも、長友がフォルランを追い越す動きをあまり見せなかったり、3人で固められた中央を割れる雰囲気が全くしなかったりと。で、結局インテルが仕掛けるところは、中央でボールを受けたフォルランの個人技やアルバレスの個人技、マイコンのクロス。それもレッチェのミスからであった。やっぱりチームとして仕掛けるところをまだ見つけられてないインテル。仕掛けのアイディアがないなって雰囲気も。

 レッチェの守備もかなり機能していた。まずバイタルを閉じて、両サイドへのケアも、5バックの両サイドと、ジャコマッツィとオリベーラの判断でヘルプに行ったりして、割られないようにする。てかそもそも中央がかなり固いので、サイドを崩したところで中央でいい勝負を出来るかもあやしいところ。なので、得点を取るために別の解決方法が求められる。





 インテルの守備にこのようなスペースができることがあった。攻撃のときもポジションがなくなるアルバレスだけど、このように守備のときにもポジションレスになることがあった。これがもしラニエリの罠だったら楽しかった。あえてスキを与えて、レッチェに前に出てきてもらおうと。キツツキ戦法。

 このゾーンをケアするのは、サムエルとサネッティによって行われる。で、稀にそうやってアルバレスが起点になってカウンターというシーンは出てきそう。ただリスクも伴うことになる。で、狙っていたのかは謎。後半からシステムを変えたのがラニエリの計算からそうなったのか、アルバレスが戻らなかったのが計算外だったのかは謎。ラニエリが狙っていたという想像ができないけど。

 で、相手のミスから得たコーナーの流れから同点に追いついたインテル。こうやってまた問題が隠れたら笑えない。チャンスはほとんどレッチェのミスからのものだったという印象。そこからの個人技みたいな。そんなも曖昧さに頼るような考え方は誰もしないよね。

 ■修正してみたけど
 




 インテルフォルランからミリート、ファラオーニからカンビアッソレッチェはオリベーラからピアッティ。ラニエリは結局リスクを冒すのを嫌ってのことか、アルバレスが戻らないのを修正したのかどちらだろか知らないけどシステム変更をしてきた様子。で、この恩恵を受けたのは残念ながらレッチェであった。

 まずインテルは4−3で守備をすることになる。そこで、前線のメンツがコースを限定してくれたら良いんだけど、ほとんど何もしない。そこで、広大なサイドのスペースがインテルの穴になった様子。で、レッチェはそこのスペースを利用して、前に出ることが可能になった。





 両サイドのスペースには、ウインバックとピアッティ、ジャコマッツィが進出してくる。で、オボトを中心に両サイドにボールを送り込む。そうやってインテルを押し込んだレッチェ。1つの穴を2つの穴に変えるラニエリ采配は安定の意味不明である。無秩序にでも誘ったような様子もない。で、レッチェのゴズミ監督はすかさずムリエル→コルビアで中央に高さを加えた。

 でも、レッチェが前に出てきたのでカウンターのチャンスのインテル。守備しないなら仕事しろって暗黙のルール。後半始まって間もない時間帯に裏狙いのミリートが逆転弾を決めたけど、それはレッチェのミスからのものであった。アルバレスが守備をした瞬間でもあった。いや、あれを守備をしたって言うのには違和感がある。パスは良かったけど。また良くないのに勝ち越してしまったインテル

 そしてラニエリパッツィーニ→オビで4−4−1−1ちっくにシステム変更でサイドの守備固め。で、長友がいきなり輝き始めて2アシスト。カンビアッソアルバレスの得点。どちらも素晴らしい突破からのアシストであった。あんな突破されたら、中央のマークも混乱が生じるんだろうなと。そして試合を決めたインテルさん。レッチェの守備陣は疲れかな。

 ■感想や思ったことを自由に

 この試合のインテルは、個人では明るい材料が一応あった。長友の疲れ知らずのエグいサイドからの突破、楽しそうにイキイキとプレーしているアルバレス、得点を決めたミリートパッツィーニなどなど。だけども、チームとしてはチェゼーナ戦から進歩してないなと。この大勝はレッチェのミスが多かったからと割り切るのが良いかなって思う。運が良かったと。

 仕掛けるところがない問題に、ノットアドバンスのラニエリの謎采配は健在であった。今のインテルは斜め横からのサプライズに支えられて、中途半端に結果を出している印象。でもそれが進化することを妨げているのだと思っている。たしかに結果は物凄く重要だけど、未来を考えると内容の方がもっと重要かなって。ミラン戦はそいう意味でもターニングポイントになればいいな。