〜アドリブと決まり事〜 ノバーラ対ミラン

 結果は3−0でミランの勝利。これでコッパイタリアでもノバーラを倒していたため、公式戦2連勝。試合を平たくまとめるとボールを持って攻撃するミラン、守るノバーラという構図。で、前半は0−0だったが、後半からシャーラウィを投入して、エマヌエルソンを左SBへ。この2人の活躍が際立ち3点も奪いミランが勝利をおさめた。ノバーラのバックラインは5バックで、攻撃する前半15分までのミランを見ていく。

left|jovpebnsfgorts-296661.jpg

//clear

 ビルドアップの局面を見てみると、ファンボメルにはマスカーラが付いていた。といってもその後ろでは数滴優位が形成されているのでボールを持つことには苦労しないといった様子。また、リゴー二が襲ってこないならアンブロさんはほぼ自由で散らせる。で、後方からビルドアップに成功したら、気になるのはロビーニョが相当左サイドよりでプレーしてること。そしたらミランの攻撃は自然と左サイドからが多くなった。

 ノチェリーノは相変わらずどんどん前に飛び出していくし、イブラは中盤まで降りていく。だけど、バランスがちょっと悪い。システムが相当左に偏って、攻撃も左に偏るミランロビーニョをサイドに完全に追いやった理由がシュートが下手くそだからだったら楽しいな。

 前半16分にちょっとした変化が起きる。ロビーニョが右サイドにも登場し始めた。だけどあっちをとれば、こっちがもたずで、バランスがまた悪くなりそう。そこで、エマヌエルソンが右ウイングのように振る舞い始める。これでバランスの悪さは解消された様子。またこの2人はサイドを変えたりもしていた。ビーニョとエマヌを間違えまくったのは内緒だ。

 そうやって変化したなかで気づくのは2トップ+トップ下の面影なんてないなって。ロビーニョエマヌエルソンはほとんどウイングだったり、イブラは中盤に降りて組み立てに加わったり。あと、イブラが中央に居座ることがこの試合ではあまりなかったので、ノチェリーノインテル戦より上がりやすそう。

left|jovpebnsfgorts-296663.jpg

//clear

 またこんなふうにエマヌエルソンが居るサイドにボールがある場合は、ロビーニョが中央に絞ってみたり、逆にロビーニョがボールを持ってる時はエマヌエルソンが中央に絞ってみたりもしていた。ただ、必ずこんな動きをやってるわけでもなく、このスペースにはアンブロやイブラも出てくる。

 で、後半からはアントニーニからシャーラウィの登場。エマヌエルソンを左SBにして、シャーラウィが前線に入ることとなった。アントニーニはあんまり攻撃面で存在感を発揮しきれてなかった。じゃエマヌエルソンが存在感を示せたかって聞かれると、そうだよって答える。

 最初に面白かったのはアンブロジーニファンボメルの動き。もし、中央に人が少ない事態になると、飛び出してくるのはこの2人。マスカーラも飛び出してくるファンボメルにはついて行く判断をするのは難しい。ノチェリーノは相変わらずの上下動を見せる。で、前の3人とその他の絡みを見ていく。

left|jovpebnsfgorts-296666.jpg

//clear

 後半のミランに頻繁に見られた2つの形。ひとつは左サイドの活性化。その方法ってのはエマヌエルソンの攻め上がりであった。ロビーニョを追い越すエマヌエルソンったら、ロビーニョが影分身でもしたかのような錯覚も起こった。で、ちゃんと機能してて良かった。多くのチャンスが左サイドからも生まれた。裏は安定のチアゴシウバのカバーである。

left|jovpebnsfgorts-296669.jpg

//clear

 また右サイドではイブラとシャーラウィが頻繁にポジションチェンジを行なっていた。イブラは3トップの0トップみたいであったが基本的に斜めに降りていく。そしてシャーラウィを中央に送り込むようなことをしていた。で、アバーテがサイドは上がる。シャーラウィは狭いところでのプレーが非常に巧い。中央に移動する彼から何度もチャンスが生まれたのは偶然じゃなかった。

 他にもシャーラウィがトップ下の色気を出しながら単純に中央に出ていくことがあった。で、シャーラウィはトップ下じゃないかっていうとそうでもないポジショニングにいることが多かった。イブラは低い位置に降りたり、そうじゃなかったり。ロビーニョも中央にいることも。シャーラウィとロビーニョがサイドを変えることもあった。彼らは2トップ+トップ下ってのを関係なく自由に動いてるようにも見える、てかそう。

 あんまりパターン化されてる印象のなかったミランの前線のポジショニングや動きは、たぶん意志の共有ができた中でアドリブでやってる感じ。その基準は一体何だろうね。それで後方の面々はある程度どう動くか制約されてるような気がする。SBもファンボメルノチェリーノも、アンブロジーニも。

 で、ロビーニョの左サイド滞在が多かったとか、イブラとシャーラウィのポジションチェンジが目立ったとかは、アドリブの中でのちょっとした約束くらいなんじゃないのかと。いや、そいう約束がちょっとあってのアドリブかもしれない。アドリブでやってる部分が他より多い印象が気になるところ。それが守りにくさを与えるためのネタなのかもしれないけどさ。意志の共有があるみたいだし個に依存してるとは言い難い。

 少し考えると。イブラは中盤で組み立てに加わる意識が強く、シャーラウィは僅かな隙間でボールを受けて仕掛ける意識が強い。ロビーニョはサイドから仕掛けていく意識が強い。これらの特徴を踏まえた上で自由に動く印象があった。これらが意志の共有の基準なのかもしれまない。自由に動くけど個に依存してないような、味方の特徴を考えた連携みたいなのを感じた。まぁわからんことだらけですたい。

 '''■最後になんなりと'''

 ミランはベル爺のわがままもあって理想を追求していくことになってると読む。で、アッレグリがアドリブの部分をパターン化していくのかどうかが気になる。あと、シャーラウィの活躍はパトの存在を消してしまうかもしれない。僅かなスペースで輝くシャーラウィ、スペースがないと無力のパト。今のミランにはどちらが最適かは考えるまでもないような気もする。それでも僕のアイドルだし、パト頑張って。