意味不明だったインテル対運が悪かったラツィオ

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 結果は2−1でインテルの勝利。ラツィオインテルの守備の隙をついたような、ロッキがうまかったようなゴールで先制するが、見たことないような崩しからミリートのフィニッシュでインテルが同点。んで、後半に変な形からパッツイーニが決めて逆転。正直、引き分けで良かったよねって感じの試合であった。

 内容を平たくまとめると、お互いに事故にあったようなサッカーをしてしまった前半、それを修正しようとし合う後半という風に試合は進んだ。ということで最初に両チームの前半の事故から見ていく。

 '''■ラニエリのミスと、ラツィオの歪'''

 スタメンを見て思うのはまたやっちまったかラニエリということ。いくらモッタが居ないからってこれはない。このメンバーならキブをCHへ、サネッティを右SHへ、ナガティエッロを左SBでイイじゃんと。てか、ベンチを見てみるとファラオーニが居る。彼を右SHで使うのは何度もやって成功しているんだから、今更何をって、、、これがラニエリらしいんだよね。

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 例えばこれがインテルのこれまでのサイドであった。右ではSHが時間を作り、良いタイミングでマイコンを使う。左ではアルバレスが2トップを孤立させないように中央に進出する。そこで空いたスペースにSBを登場させることで横幅を確保し、SBの突破力により、サイドから攻撃する。またそうすることで攻撃の人数が増えることになる。

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 それでインテルはそこに、その役割において不向きな選手を配置したことで、サイド攻撃が停滞することとなった。この場合は左SBのキブと、右SHのナガティエッロ。右は長友が時間を作れないのでちぐはぐな状態。てか同じようなタイプの選手を同じサイドに居ればそりゃちぐはぐになるって。左はキブが押し上げることが得意じゃないので、サイドを機能させることがなかなかできない。

 ラツィオのシステムは4−3−1−2。もしサイドチェンジをされたら大崩れする嫌いがある4−3で守ることとなっても、インテルのサイド攻撃が機能してないので非常に守りやすい状態。それにプラスして、クローゼもロッキもエルナネスも守備をする仕様のラツィオは守りやすそうに試合を進める。

 といってもラツィオラツィオで、ルシオの自滅のようなミスが無ければインテルも守りやすい様子で試合は進む。インテルほどじゃなかったけど。で、その原因はラツィオの攻撃の設計にあった印象。

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 ラツィオはクローゼがポストプレーというか、インテルの4−4のゾーンのから出ることでボールを受けようとする。またはレデスマが前に出てくることで中央付近を使う。で、サイドにインサイドハーフアルバロ・ゴンサレスとルリッチを送り込む。アルバロやルリッチがサイドから仕掛けていくシーンは頻繁にあった。見たことない攻撃の気がする。だけど、この攻撃に問題を感じた。

 ひとつの問題は中央で消えたエルナネス。クローゼとレデスマがそんな風に動くからかエルナネスは中央に居る時はよく行方不明になっていた。プレースペースが無かったのかなと。ただ本来の彼は中央でもボールに巧みに絡んでいって、ドリブルやパスなどでチャンスメイクをしたり自ら仕掛けていく。中央以外ではそうじゃなかったけど、いつもより中央で消えていた。

 もうひとつはサイド攻撃にあった。ザウリもラドゥも決して攻撃に厚みを加えることができない選手じゃないんだけど、あまり上がってこない。というより、そのコンビネーションがあんまりなかった。ということでサイドからは単独で突撃していくことが多くなった。そんな中で何度かルリッチは良い突破はみていたんだけど、面白いシュミレーションで笑わせてくれた。

 という訳でお互いに攻撃が事故したような状態。特にインテルは重症である。ラツィオはそんなに悪いわけでもないけど、良いとも思えなかった。で、攻撃を改善しなきゃって訳で事故に対する対応が求められる。動いたのは重症のインテルであった。前半18分くらいからアルバレスとナガティエッロの配置を変更した。ナガティエッロって誰って思った人はすいません。長友のItalianなあだ名でござる。

 この変更によって右サイドのちぐはぐはちょっと解消された。中央に進出する意識が強くてサイドに居ても時間が作れる選手と、縦への推進力を持つ選手の右サイド。そりゃその組み合わせのが上手くいくって話。同じタイプの選手を同じサイドに置くのは、どちらかの良さが消えるか、ちぐはぐになるか。インテルマイコン&ナガティエッロは後者の状況に直面していた。

 次に左サイドを見てみると、そちらではナガティエッロが移動している。右SHより左SHがやりやすそう。原因はマイコンに気を使わないでよくなったから。でも、キブが全然援護してくれないから単独突破。といってもキブの上がるスペースはナガティエッロが埋めてるんだけどね。

 そんな時間帯に膠着ちっくの試合の中でもロッキの一瞬の飛び出しから先制点が生まれる。このシーンだけ異常に守備が緩くなった。カンビアッソのボールホルダのレデスマへの寄せが甘いとか、ルシオのライン下がりすぎじゃないのかとか、いろいろ。ただ、ダイレクトで叩き込んだロッキさんはスペースを見つけたことも含め、素晴らしかったなと。

 先制されたインテルは、さらに変化して前半35分くらいからカオスな状況に突入していく。アルバレスが右SHだったのに、守備時になんだか逆サイドと表現できる場所にいたり、サネッティがまるで右SHの意識でプレーしていたり。そんな時間帯にインテルは見たことないような崩しから追いつく。こんな崩しをできればいいねって感じ。ミリートもらしく決めた。

 '''■膠着しままなんだけど、、、'''

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 後半からお互いに選手交代をする。理由はいろいろ。キブからオビ、アルバレスからスナイデルエルナネスからマツザレム。レヤからしたらエルナネスの部分は消えてるくらいなので今日は要らない。そこで4−3で守るリスクを避けるためにマツザレムを投入して4−4のブロックを形成する。インテルが後半から特にサイドの攻撃の部分を修正してくることをわかってのことだろう。

 インテルはそれまで、キブが上がって来ないので攻撃の人数がどうも足りない。マイコンもそんなに上がりやすい状況じゃない。ってことでの4−3−1−2へシステム変更。目の前から選手を消すことでSBにスペースを与える。キブが上がらないのはナガティエッロを左SBで問題を解決しようとしたのかなと。

 さらにラニエリスナイデルからマイコンのサイドチェンジを狙っていた様子。4−3で守るラツィオのサイドチェンジに対する危うさに付け込もうと考えていた様子。それでマイコン対ラドゥを成立させて、そっから仕掛けようと。ラツィオからしたら、そもそもサイドチェンジをやらせなきゃいいわけだけど、スナイデルの展開力って武器を使う狙いなのかなと。

 ルリッチはこの場合なら中央を開けてはならないんだけど、ラツィオは4−4のブロックへと変更している。よってスナイデルからマイコンのサイドチェンジはこうなった。

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 ラツィオはゾーンの外に出るスナイデルのサイドチェンジの妨害をあまりしなかった。といってもサイドチェンジの先では数的不利の状況。ここから仕掛ける狙いだったんだけど、マイコンは仕掛けることができなくなちゃった。ここまでレヤが読んでいたら凄いが、たぶん偶然。それでもしめしめしてるだろうレヤ爺さん。

 インテルとしてはSBに上がるスペースを提供して、SBによるサイドからの突破。さらに低い位置にスナイデルを降ろして彼のの展開力によるでサイドチェンジを多用して、4−3のブロックを崩したかったのかなと。しかし4−4ブロックのラツィオは読み違い。サイドで1対1が全然成立してくれないので困ったインテル。カオスな前半終了間際の攻撃は悪くなかったんだけどね。

 ならインテルは4−3−1−2に変身してる。トラウマが蘇りそう。つまり逆につけこまれるんじゃねって感じ。というわけでシステム変更後のインテルの守備を見ていく。

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 こんなとんでもない意識で守っていた時があった。ここで万が一ボールを運ばれれば一気にピンチへ。ここでカンビアッソのところまでクローゼが引いてくれば楽しいことが起きそうだけど、後半のクローゼはそいうプレーが何故か少なかった。エルナネスが居れば、、、って感じだが、あっちをとればこっちが持たずで考えてもしょうがないのかなと。

 なら前から守らなかった時の、4−3で待ち構える後方での守備はどうだって話。後半からはラドゥもザウリも上がって来ていたが、サイドを変える意識がそんなになかった。スナイデルがレデスマとマツザレムのところで、サイドチェンジをさせないようにしてもいたのもあるんだろうけど。

 そんな感じで膠着状態の試合はパッツイーニのなんだかよくわからない逆転弾で動くことになった。ミリートの逆オフサイドトラップが効いいたとか、なんだかんだ理由はありそうだけど、パッツイーニのシュートはうまかった。2トップ揃って得点である。

 でアルバロ→コンコ。サイドチェンジをしないなら、そのサイドからの突破は強くすればいいじゃんと。ただ、ザウリ→コンコでよかったんじゃねっては思った。次にラニエリミリート→ファラオーニ。システムを4−4−1−1に変更で守備固め。なんだか危うい4−3−1−2の守備を考えれば当然かな。

 守備固めのインテルに対してレヤはザウリ→シセ。システムを4−3−3に変更。ここからラツィオが攻撃的に振る舞い、インテルがカウンターで試合を決めようとする展開へ。で、なんだかんだでお互いに特にチャンスが作れず終了。引き分けが妥当だったかなって内容だけど、インテルの勢いを象徴してるんじゃないのかなと。ただ、良くない内容を結果がごまかしてるって考えもできるね。

 '''■最後に'''

 ラニエリは修理屋としては素晴らしいことを成し遂げたけど、そこからマイナーチェンジを繰り返しチームを強くするのが、、、って感じのような気がする。ただ、勝ってる今のチームをいじる必要はあるのかねって。そこから進化させるにしても、何をやりたいのか意味不明。心配だね。