〜ネクストムンタリを忘れるな〜 ユベントス対ウディネーゼ

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 結果は2−1でユベントスの勝利。ホームなのにピンクユニのユベントスは、前回に続きウディネーゼに守備形態を合わせる形で試合に入る。逆にいきなり前プレにしくじったウディネーゼエスティガリビア対ハンダノヴィッチというゴール前の攻防を成立させてしまった。前プレをかわされると前線にオープンな状況ができる可能性が非常に高い。そんな入りを見せた試合を振り返る。

 '''■噛み合せは続く'''

まず、最近のユベントスはらしくない。とーーーってもボールを大切にする。それで、ちょっと欲を言えば、もっとウディネーゼに前プレに来てもらいたかった。ボール運びに苦しむんだけど、回避できたらその跳ね返りというかご褒美で、前線にオープンな状況が生まれやすい。しかし、ウディネーゼは結局後方で守る。

 いきなり前プレに失敗して、ユベントスの前線にオープンな状況を作らせてしまったウディネーゼだが、実際には後方でブロックを作るのが得意だぜってことで後方にブロックを作る。バスタとバクスアーレがユベントスのWBが居る位置により高さを変えるが、基本的に5−3の形でブロックを形成する。さらにアブディをピルロにぶつけることで、ピルロを中心にしたサイドチェンジで振られることをを警戒。

それでボール奪ったらカウンターだぜってことだが、アルメロがボール運びに異常に貢献していた。ユベントスが攻撃で前に出てきた隙を狙うカウンターという形。その隙は攻撃に出てきたことで生まれるスペースの話。で、それを利用するアルメロはドリブルを中心にボールを運ぶ。スピードに乗って運び。調子に乗って運ぶ。調子に乗りすぎてムンタリちっくな笑いも提供するネタっぷり。

ウディネーゼのカウンターは、アルメロやイスラなどに素早くボール運びをさせて、ディナターレも降りて絡んで来れば素早いカウンターからからチャンスを掴めそうだなって感じであった。でもユベントスが攻撃を遅らせる方法は色々。ユベントスは攻撃を遅らせることができれば例の守備ブロックを作る。そうなった場合でも崩したいウディネーゼだが、そいうことはあまり出来なかった。

 例のブロックとはウディネーゼにシステムを噛み合せる守備ブロックである。ウディネーゼの特徴の解説をちょっとすると、ディナターレはCFの位置から左寄りに降りることが多くなり、両WBはサイドに張る、イスラはかなり前に出て来る、アブディは中央によくいる。ユベントスウディネーゼ対策としてシステムを変えて、その中のマッチアップもウディネーゼの特徴も踏まえ準備して来た。

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 コンテの狙いとしてはシステムをウディネーゼに噛み合わせることで守備をやり易くする狙い。それはゾーンの中にマンマークを組み込むのを容易にすること。そのマッチアップも相手の特徴を踏まえて準備してきている。また、中央のピルロの負担という部分でも両脇を組織で対応してくれることで、ピルロが左右に降られる事態はなくなる。こうやって柔軟に守備を変えられるのは今のユベントスの強みかなと。

 ウディネーゼが崩せなかった理由は色々と考えられる。ひとつは両脇のCBのフェロネッティとドミッィが効果的に組み立てに加われなかったこと。マトリとクアリャレッラは基本的に前線に残るけど、前プレはやる。そこをかわせなくてロングボールを蹴ることが多かった。後は、文字通りボールを運ばせてもユベントスウディネーゼ対策の準備された守備によるものが大きい。

 ピンツィが居ればもっと攻撃に幅が出たかもしれないって思うところもあるっちゃある。といってもジェウソンフェルナンデスも守備に相当貢献していたので、何だかなぁーって感じ。というわけでウディネーゼはカウンターを中心にチャンスを掴んでいくこととなった。

 ならユベントスの攻撃に話を戻そう。前線にオープンな状況を提供するのは例の守備からのカウンターという形もある。前回の対戦ではもうちょっとそいう形が多く、カウンターの応酬みたいだったが、今回はそこまで無かった。という訳で、遅攻主体で攻撃を組み立てる。

 ボール運びに苦労は無いが、5−3か3−5かはどうでも良いが、その代償に引いたウディネーゼのブロックを崩すのには苦労がつきもの。その攻撃を見てみよう。

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 アブディによりピルロを封じられたユベントスだけど、だいたいこんな意識で攻撃を構築していた。で、大きかったのは目の前にスペースがあるジョルキエとバルザリによる組み立て。これで攻撃の人数が増えるという側面もあり、非常に効果的であった。その2人はアブディの真横を通る。そこでアブディが、ピルロを捨てて寄せようかと迷っていたのが印象に残る。結局はそいう判断ができなかった。

 もともとはサイドにWBしか居ない訳だけど、CHとFWをサイド付近からダイナゴル付近に送り込む。それが良かった。そしてサイド攻撃みたいなのを仕掛けて行く。また、WBの能力の高さという武器もある。それらがなかなか機能していた。守備のために始めた3バックを進化させていってるらしい様子。 といってもウディネーゼのシステム上、そいうスペースへの対応が曖昧になるとの考えも背景にあるね、きっと。

 で、なんだかんだしてるうちにウディネーゼの守備に綻びが出てくる。原因は調子に乗ったアルメロ。自分を攻撃の主役と勘違いしたアルメロはいつの間にか、守備時に居るべき場所から消えることが多くなった。ピルロ番のアブディがアルメロの位置を埋めている。そこでピルロへの対応が曖昧になっていき、ピルロ絡みのサイドチェンジが起点とも捉えられる点をマトリに取られてしまいましたとさ。

 '''■ピルロを解き放つグイドリンって、、、'''

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 後半からアブディに代わってフローレス。2トップ気味にシステム変更。何をやりたかったんだう。明らかにピルロの位置の選手を消した。結果的にも失策であった。なんだかんだで前半の途中から時間とスペースを手に入れつつあったピルロだが、さら手に入れることとなった。バルザリもジョルキエも自由なままで。

 そこで不都合だったのはグイドリンかコンテか。ピルロがあからさまに時間とスペースを手に入れ自由になったことで、長い時間ボールを回すことが可能な状況になった。振り回されるウディネーゼ。ただ、この状況が不運も招きウディネーゼのカウンター時に一層オープンな状況を提供することとなった。

 ピルロが時間とスペースを手に入れたことで、周りのメンツもそれを手に入れ、前に出ていくことが簡単になった。この状況がユベントスの選手を居るべき場所から狩り出す。でもそれは、ウディネーゼのカウンターの威力が増しますよってお話。グイドリンがそいう駆け引きをやったのかは謎だ。たぶんやっってない。フローロ・フローレスの気まぐれなピルロへの守備がわかりかねぬところで。

 それで後半に2点入る訳だが、その形がメチャクチャ切なかった。バルザリの変なミスパスからイスラのインターセプト。ドリブルで運んで、フローレスのフィニッシュ。リヒトシュタイナーのなんだかよくわからんクロスからマルキージオの閃きか何かわからないパスから、マトリのドピエッタ。で、ピルロに時間を与えすぎたウディネーゼは振り回され、バテで滅びましたとさ。

 '''■最後になんなりと'''

 アルメロという選手が面白かった。実力はあるのにムンタリっぽいところがある。スゲーって思ったら、次の瞬間に意味不明なハンドだったり、守備をいきなりサボり始めたところとか。アブディがアルメロの居るべき位置で守備をしていたのは笑えた。そして、ユーベの無敗は続く。

 ピルロへの対応をおろそかにするという部分が、全体にどんな影響を及ぼすかが重要なので、それについて少し。まず、ピルロを自由にする=ピルロに時間とスペースを与えることで、ピルロが自由なっちゃうと、彼の特殊能力により、味方にも時間とスペースが提供され自由になれる。

 その味方に時間とスペースを提供する方法は、大方が異常に精度が高いパスによるもの。また、それによって攻撃に時間やリズムと幅も作れる。これだけの影響を全体に及ぼす可能性がある。しかし、ピルロ対策に集中し過ぎると、他のメンツにやられる嫌いがミラン時代からある。そこの兼ね合いも大切。