積み上げた物はどこへ行く 〜レッチェ対インテル〜

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スカパーにキエーボ枠とラツィオ枠ができそうな今日この頃。というわけでミランユベントスのサポーターはビクビクしてるんじゃないのかと。ただ、彼らの枠は維持できても、どーーーせウディネーゼやローマやナポリはやってくんないのは、わかりきってることなのでスカパーからの撤退が決定した。まるでスカパーのありがたみを感じない。

ミランインテルは、ミランチャンネルとインテルチャンネルがあるので対したダメージはないはず。CLさんはJスポに頑張って頂きましょう。BSスカパーでもやってくれるもんね。さらにSopCastという最強の武器を手にいれた管理人は、日本でウディネーゼとローマを見ることに成功する予定だ。配信元は色々と考える。ぶっちゃけSopCastだけで良いのかもしれない。パソコンもTVサイズだし。

スカパーに契約したところで、見たい試合やチームを見れる保証のない環境で、それと異なる方面にサッカーファンが流れて行くのは至極真っ当な現象かなと。Jスポの話だが、今度のプレミアの放送でスウォンジーチェルシーの放送がないのが全てを象徴してる気がする。こいうことに真剣になって考えて欲しいものよと。セリエ優勝争いのミランとユーベが天秤に掛けられたら終わりだな。

 '''■復習と、ちょっとしたまとめ'''

ラニエリはトリクアルティスタ型442という根本的な形を維持したまま、マイナーチェンジを加えてインテルを進化させる道をたどるのかなと思っていた。それならラツィオ戦の話はまだわかるけど、今回はスナイデルのスタメン復帰。それによりトリクアルティスタ型442の形も影もなくなり、スナイデルのトップ下の4312。というわけでチームは原点回帰である。もちろんめちゃくちゃ悪い意味で。

それについて話す前にトリクアルティスタ型442の改善点をまとめよう。つまりマイナーチェンジを加えてみれば良いんじゃないのってところから。まずは守備に関して。赤色はトリクアルティスタ型442のインテルに置ける守備の弱点。良い表現を使うと、居るべき場所から消えて攻撃参加する選手達。

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インテルの弱点となりうる部分は左サイドに集中されている。あとは右SBのマイコン。彼らは居るべき場所を離れて行動する。その理由は攻撃によるものが大きい。そこの部分とのリスクと戦う必要があったのが今までのインテルミラノダービーみたいな試合をできれば話は別だが、普段はボールを持たされることが、どうしても一応ビッグクラブなので多くなる。

4−4−2の場合、中盤の4とFWの4を繋げる作業が必要になってくる。2トップが孤立すれば後方と前線が繋がらない。そこで今までのインテルは左SHのアルバレスをトップ下のように振る舞わせることで、その問題を解決した。左SHを持ち場から離れてさせることで左サイドにはあることが起きる。ひとつは攻撃に横幅ができないこと、ひとつはSBの目の前から人が消えること。

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答えは簡単。SBを空いたスペースに上がらせて横幅を確保すること。そうすることで攻撃の人数も自ずと増える。横幅というなら右サイドも。右SBのマイコンにより右サイドに使える仕様になっている。ただし、この2人のオーバーラップのやり方は大きく違う。長友はスペースを与えられたから上がるが、マイコンは時間を与えられるから上がる。

この2つの違いは守備に大きな差を生む。アルバレスが持ち場から消えることで長友はスペースを得て上がる。サネッティかファラオーニの右SHがボールキープによりマイコンは時間を得て上がる。根本的に違うのは近くに人がいるかどうか。マイコンが上がってもサネッティが近くにいる右サイドのリスクマネはそれで間に合うが、長友の裏は曖昧にされていた。

といっても左SHが中央に行かないと、2トップが孤立するし長友が上がれずマイナス1が生じる。それはこの試合の後半途中で入ったサラテが全てを象徴している。なのでボール持たされたインテルは必然的にリスクと戦う必要がある。そのマネージメントの方法はたくさんあるが、それはうやむやにされたままである。それを長友の走力でごまかすのかなーということは何度かあったけど。

また、攻撃の話を進めると仕掛けの部分への課題。平たく言うと引いた相手を崩せない問題。こちらもボール持たされたときの課題だが、ここもうやむやにされたまま。裏狙いやゾーンの隙間でボールを受けようとする選手が少なく、相手のミスがない限り崩せない問題。前プレの跳ね返りくらいでしか自力でチャンスを掴めない。それちっくな方法でカウンターもあるが。

攻守において、それらの部分をどうするか。ここにマイナーチェンジを加えていけば、インテルは強くなるんじゃないのかと。それまでそのうやむやはなんだかんだで隠されていた。でも、勝ち点を落とすならここだよねって掴み所でもある。そこをどうごまかすか、そこにこれからのスポットライトが当てられるはずだった。

これでは悪かっただけみたいだから、良かった部分を。それやはりバランスが維持されてる錯覚があること。ボランチが2枚居るべき場所に居るのが大きい。また、右サイドではサネッティによるリスクマネがある。左サイドは相手がそこを狙ってなかったり長友の必死走りだったり。攻撃ではアルバレスを中心に攻撃の形の基本像を作ったこと。また、4−4−1−1で4−4のブロックを形成できるようにしたことは大きい。

それまでの4−3−1−2のインテルは前線が全く守備をせず、4−3で待ち構え、サイドを使われまくれ守備が終わっていた。その真意は4−3で守る場合に中盤の守備範囲を3人で対応する難しさにある。両サイドにSHとSBの攻撃参加にSBの一枚で対応するのは至難の技。それを3人の中盤がスライドすることで補うのが通常だが、サイドを変えられたら色んな部分に危険なものが待っている。

そこで守れるチームもあるが、インテルは守れてなかった。ラニエリが就任してからも何度かそんな事態にしていた。そこで4−4−2でもともとの守備の人数を増やしたのは偉かった。それでミラン戦みたいに2トップに守備をやらせた辺りまでは、順調だった。あとはボール持たされたときの攻守における課題の克服のために、マイナーチェンジを加えて行き克服する。それで強くなるはずだと。で、その期待は裏切られた。その試合の前半を振り返る。

'''■試合の前半だけを振り返る'''

ラツィオ戦の前半ではマイナーチェンジに失敗しただけかなーって感じだったけど、後半からは明らかに違った。システムを完全に変更して、積み上げの跡形もなくなったがオプションなら良いかみたいな感じだった。レッチェ戦ではスタメンから積み上げを破壊する気満点であった。で、破壊されたのは文字通り積み上げた442、手に入れつつあったバランス。壊しすぎ。

 前半を簡単に振り返るとボールを持って攻撃するインテル、守ってカウンターを狙うレッチェという構図。この展開の中で、やりたいことができていたのはレッチェの方であった。しかし、前半の30分くらいから運動量の低下と、インテルが3バックの弱点となりうるスペースをりようし始めたことで、決定機を与えたが何とかしのいで、ジャコマッツィの先制点も決まり、前半をリードして終えたのはレッチェ

 インテルがボールを持っているので最初にレッチェの守備を見ていく。

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 印象的だったのはブラージとスナイデルのマッチアップ。もしアルバレスを使い4−4−2の場合は、左SHからスタートする。この場合、サイドから中央に向かうことになる。サイドから中央に移動する利点として、プレスを掛かりにくい部分がある。また、相手の気持ちになってもそいう動きには対応がやりにくい。

 逆にスナイデルは中央から、中央でボールを受けることが多かった。ブラージとのマッチアップが限定されていて、人が密集することが多い中央なのでボールを上手く受けることができない。アルバレスだったら、掴みどころの無いポジショニングでボールを受けて、後方と前線を繋ぐことができる。ただ、ボールを受けれないスナイデルはそいうことができない。

 というわけでポジショニングを変更するスナイデル

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 ボールを触りたがったスナイデルは極端に表すと図の位置くらいまでポジションを下げることにした。これがビミョーな一手で、スナイデルが下がるのと同時にミリートを1列下げる。そのラインで前線と後方を繋ぐ狙いがあったのかもしれないが、その前線がパッツイーニの独り。レッチェは3バックでゴール前に人数を集める→彼らのアタック&カバーでゴール前の攻防に勝利していく。

 ゴール前に人数が足りないインテルカンビアッソやオビや稀にサネッティやSBをゴール前にに突撃させてみたり、目の前にスペースがあるSBでサイドから攻撃させようとする。そうやって攻撃に横幅を加える狙いもある。これらがレッチェの守備陣に混乱をもたらしてくれそうだが、それより先に、その形振り構ってられない攻撃のしわ寄せを喰らうこととなった。

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 狙いは上がったSBの裏を中心にという雰囲気。頻繁に見られたのはムニエルやディミケーレマイコンの裏へ、ルシオが引っ張られたらサムエルも引っ張られる、そしてスピード勝負に負けるサムエルは何度も突破を許し、さらされるセーザル。カンビアッソがゴール前に上がるようになってからはその裏のスペースも狙い始めた。元来、マイコンの裏より、リスクマネが曖昧な長友の裏が弱点であったが、両方弱点ならって戻りが遅いマイコンの裏を中心に狙いまくるレッチェはいやらしい。

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 インテルはリトリートした場合には、4−3で守る。レッチェはWBを高い位置に進出させて横幅を確保し、CBを上がらせ攻撃参加させる。またジャコマッツィとオリベーラも出てくることでサイドで数的優位を形成する。この辺りはインテルが4−4−2でくるとレッチェは思ってたのかなーって想像した。

 もしここで、効果的なサイドチェンジがもっとあれば、インテルが大崩れしたかもねとかも思う。得点シーンは両CBのサイドチェンジをした覚えもある。で、レッチェはこんな風に引いた相手を崩す準備もしていた。これにダゴスティーノみたいに左右サイドにに振れる選手が居ればって思ったが、押し込んだらSBの裏を狙うカウンターはできないので、インテルにポゼッションを譲るくらいがちょうど良さそうな感じ。

 そんな感じで、レッチェがやりたいことをできていて、攻守にレッチェペースの試合は、レッチェのボールホルダーへの寄せが甘くなり始めたことと、インテルが攻撃の意識を変えてみたことで流れが変わる。

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 いわゆる3バックの弱点となりうるスペース。パスの出し手も、レッチェの運動量が落ちたことともうひとつ言うならば、カンビアッソたちがどんどん前に出てきたことでラインが下がってしまったことで、プレーしやすくなった。で、CBとSBのダイナゴルのスペースでの攻防が増えたことで、インテルは何度か決定機を迎えたが、べナッシオのファインセーブや、CBの頑張りによってゴールを阻まれていた。

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 それで失点もしたインテルは、後半からは4−4−2に戻すが、SBの裏を取られまくるリスクが消えなかった。特にマイコンサイド。この裏は前半から狙われ続けていたが、一度狂った歯車の修復は困難のようでどうする。というか、マイコンの裏を取られる問題はアルバレスを目の前に置いても変わらないよね。

 コーナー以外で決定機を作れないインテルは、交代策などで追いつこうとするが、サラテが身勝手なプレーで、色んな部分に悪影響を与えて終わった。長友の上がるスペースを消して攻撃の人数をマイナス1、愛の無いクロスに、味方と時間とスペースを共有する意識がない独りよがりのプレーに終始という。。。

 '''■最後になんなりと'''

 スナイデルの復活で4−4−2から4−3−1−2。大人の事情か。そして、積み上げたトリクアルティスタ型442の、そのサッカーはなんだったんだって話で、良くしていくにも変えすぎ。中心のアルバレスはベンチスタートだし。それで全く違うチームになり、なんだかよくわからない状態にチームは突入している。それで攻撃のやり方も変えバランスを破壊し、サネッティの右SHで補完していた右サイドの裏まで弱点にしてしまうんだから笑えない。明らかに悪くなってる。